五月人形の正しい収納方法を詳しく解説 大切な人形を長く美しく保つために知っておきたいしまい方とポイント

五月人形をしまうとき、どんなふうに片付けていますか?毎年、端午の節句が終わったあとに人形を片付けながら、「来年もきれいに飾れるかな」と心配になった経験はありませんか。せっかく大切に選んだお人形が、次に出したときにカビが生えていたり、サビが浮いていたりしたら、とても悲しい気持ちになりますよね。五月人形は、男の子の健やかな成長や安全を願う、家族の思いが込められた大切な飾りです。だからこそ、正しい収納方法を知って、安心して次の年を迎えたいものです。

この記事では、五月人形を美しく保つための収納準備から保管環境、年に一度のメンテナンスまで、わかりやすくご紹介します。家族の大切な思い出を守るために、ぜひ最後までお読みください。

五月人形を収納する前に行いたい準備作業

五月人形をしまうときに、ただ箱に入れるだけでは、翌年に取り出したときに悲しい思いをするかもしれません。大切なお人形を長持ちさせるためには、収納する前にしっかりと準備をしておくことがとても重要です。ここでは、その準備のポイントを詳しく紹介します。

収納のベストタイミングは湿気を避けた晴れの日

五月人形をしまう最適なタイミングは、端午の節句が終わったあとの5月中旬くらいまでが目安です。梅雨に入ってしまうと湿気が増えてカビの原因になるため、早めに収納するのが安心です。何日か晴れが続いたカラッと乾燥した日に作業をするのがポイントです。湿った日に片付けてしまうと、収納箱の中に湿気が閉じ込められ、人形に悪影響を与えてしまいます。

旧暦の節句に合わせて6月上旬まで飾る地域でも、梅雨入り前のタイミングを意識しましょう。天気予報を確認し、乾燥した日を選ぶことが、カビや虫食いを防ぐ大きなコツです。

収納前のお手入れはホコリと皮脂をしっかり除去する

人形を飾っている間に、気がつかないうちにホコリが積もったり、手で触ったときの脂が付いたりしています。そのまま収納すると、翌年にシミやカビの原因になることがあります。そうならないためにも、収納前のお手入れがとても大切です。

柔らかい筆や毛ばたきを使って、やさしくホコリを払いましょう。お顔の部分は特にデリケートなので、素手で触らず、ティッシュや綿棒で優しく丁寧に掃除します。金属のパーツや漆塗りの部分は、メガネ拭きなどの柔らかい乾いた布で、軽くから拭きして皮脂を取り除きます。取れない汚れがある場合は、無理をせず専門のお店に相談しましょう。

収納作業中は必ず布製の手袋を着用しましょう

収納作業中に素手で人形を触ると、指紋や皮脂がパーツに付着し、サビや汚れの原因になります。これを防ぐために、作業時は必ず清潔な布製の手袋を着用しましょう。特に、顔や金属パーツを扱うときには、丁寧に触れることが大切です。

パーツごとの収納と正しい梱包方法

五月人形はパーツが細かく分かれていることが多いため、そのまましまうと部品同士がこすれて傷がつくことがあります。これを防ぐためには、部品を分けてやさしく包んで収納する必要があります。ここでは、梱包のポイントについて説明します。

パーツは取り外して一つずつ丁寧に包みましょう

鍬形や龍頭などの取り外しができるパーツは、できるだけ外して、それぞれを和紙や柔らかい布でやさしく包みます。新聞紙はインクが人形にうつる恐れがあるため使わないようにしましょう。金属パーツは特に傷がつきやすいため、他のパーツと接触しないように個別に包むのが安心です。

顔の保護は面紙できちんと包みましょう

武者人形のお顔はとても繊細で、少しの擦れでも傷がついたり、汚れが付いたりしてしまいます。収納時には面紙と呼ばれる薄い紙やティッシュを細長く折って、顔に優しく巻きつけて保護しましょう。この作業を忘れてしまうと、次の年に取り出したときに顔が傷んでしまうことがあるので注意が必要です。

箱の中で動かないように緩衝材で隙間をしっかり埋めましょう

人形を収納箱に入れる際、中で動いてしまうとこすれて傷ができる原因になります。やわらかい紙や布を使い、箱の隙間をふんわりと埋めましょう。ただし、詰めすぎるとパーツが押されて変形する恐れがあるので、優しく支える程度にとどめます。緩衝材を使うことで、持ち運び時も中身が安定し安心です。

収納箱と保管場所の選び方 湿気と温度管理がポイント

人形を長持ちさせるためには、収納箱の選び方や保管場所もとても大切です。湿気が少なく、温度が安定している環境が、カビやサビを防ぐカギになります。

収納箱は桐箱がおすすめ 段ボールの場合は乾燥対策を忘れずに

桐箱や櫃(ひつ)がある場合は、そのまま使いましょう。桐の木は湿気を調整する効果があり、人形を守ってくれます。桐箱がない場合でも、段ボール箱を使用できますが、その際は必ず乾燥剤や調湿剤を入れて湿気対策を行いましょう。プラスチック製のケースは湿気がこもりやすいため、できるだけ避けたほうが安心です。

保管場所は押し入れの上段やクローゼットの上段が安心

人形を収納した箱は、押し入れやクローゼットの上段など、風通しがよく日が当たらない場所に置くのが理想です。湿気は下にたまりやすいため、押し入れの下段や床下収納、屋根裏、物置、窓際などは避けましょう。下段に置くしかない場合は、すのこを敷いて箱が床に直接触れないように工夫します。

防虫剤と乾燥剤の正しい使い方 虫とカビから守るために

五月人形を長期間収納する場合、虫食いやカビを防ぐために防虫剤や乾燥剤を使うのが効果的です。しかし、使い方を間違えると人形にダメージを与えてしまうこともあるため、注意が必要です。

必ず「人形用」と書かれている防虫剤と乾燥剤を選びましょう

防虫剤や乾燥剤にはさまざまな種類がありますが、必ず「人形用」と記載されているものを選びましょう。衣類用や食品用のものは成分が強すぎたり、人形の素材に合わなかったりすることがあります。特に金属パーツが多い兜飾りや鎧飾りでは、防虫剤を使わず乾燥剤だけを使用するほうが安全です。防虫剤や乾燥剤は人形に直接触れないよう、箱の四隅などに配置します。

年に一度の虫干しで大切な人形をリフレッシュ

長期間収納していると、箱の中に少しずつ湿気がたまっていきます。この湿気が原因でカビや虫が発生することもあるため、年に一度は虫干しをしてリフレッシュしましょう。虫干しとは、人形や収納箱を風通しの良いところに出して、湿気を飛ばす作業です。

秋の乾燥した晴れた日に虫干しを行いましょう

虫干しは、空気が乾燥している秋の晴れた日に行うのが効果的です。直射日光に当てると人形が色あせる原因になるため、必ず日陰で行いましょう。風通しの良い場所に数時間(2〜4時間程度)出すだけでも、かなり湿気を飛ばすことができます。このとき、収納箱も一緒に開けて中を乾燥させておくと安心です。

また、防虫剤や乾燥剤は古くなると効果が弱まるため、虫干しのタイミングで新しいものに交換するのが理想的です。こうしたメンテナンスを毎年行うことで、大切なお人形を良い状態で長く保つことができます。

まとめ 五月人形を長く美しく保つためのポイント

五月人形を長く美しく飾り続けるためには、収納前の丁寧なお手入れ、パーツごとの適切な梱包、湿気を避けた収納環境の確保が必要です。そして、年に一度の虫干しを行うことで、さらに安心して次の年も美しいお人形を飾ることができます。

カビ・虫食い・サビを防ぐ3つのコツ:

  • 湿気を避けた収納タイミングの選択
  • 正しい梱包と保管場所の工夫
  • 毎年の虫干しと防虫・乾燥剤の交換

家族の思い出を未来に受け継いでいくために、ぜひ今回ご紹介した方法を参考に、丁寧にお人形をしまってください。